エンジニアの市場価値は1つじゃない|提示年収は「どの席に座るか」で変わる

文:bani24884

2026年の転職活動で実感したのは、同じ自分でも、受ける席によって提示やスカウトの年収が倍近く違うということでした。市場価値は1つの数字ではなく、「どの席に座るか」によって動く。「年収が上がらない」と悩む前に知っておきたかった話を残します。なお、ここでの数字は実際に受けた提示・スカウトの“幅”の体感で、確定オファーではなく提示段階のものです(社名・具体額は伏せています)。

「評価される」と「高い数字が出る」は別物

落選フィードバックでは、技術力そのものは毎回ほめられました。それでも落ちる。つまり「優秀」と評価されることと、高い数字が出ることは別です。正社員の年収を決めるのは技術力だけではなく、チームを通じた再現性や、その席が引き受ける責任の大きさでした。実際、年収900万前後の席になると一定のマネジメント経験を前提に見られる場面があり、そこが弱いと数字が伸びにくいと感じました。

同じ自分でも、席で数字が変わった

同じ経歴・同じ時期に受けた提示やスカウトを、席のタイプで並べるとこうなりました。

席のタイプ提示の水準特徴
稼働も責任も重い席(客先に深く入る支援型など)一番高い一番高い数字が出る。ただし稼働・責任が重く、自由は少ない
FDE・AI系など需要の高い専門職高め(選んだ席の約1.5倍)市場の引きが強い領域。職種が違うだけで提示水準が上がった
上場企業のリード職(出社あり)高めリード責任と出社の制約とセットの数字
創業期スタートアップ幅が広いストックオプション込みで語られることも多い
フルリモート・低負荷・副業可の席控えめ自由度の条件を全部満たそうとすると、提示の上限はここに落ち着いた

同じ経歴・同じ時期でも、一番高い席と実際に選んだ席では2倍以上の開きがありました。FDEやAI系の専門職というだけでも、選んだ席の約1.5倍の提示が出ます。高い席ほど、稼働・責任・出社といった負荷もセットでした。数字は能力の絶対値というより、「その席が引き受けるものの大きさ」に応じて動いていました。一番高い数字=自分の値打ち、ではない——これが一番の気づきです。

低い数字は「制約付きの自分」の値段

私が現実的に選んだのは、数字としては控えめな席でした。これはフルリモート・低負荷・副業可・マネジメント責任なしを全部満たす席です。高い席との差は、能力が劣るからではなく、自由と時間を手元に残すことの対価だと考えています。どちらが正解ということはなく、自分の軸でどの対価を払うかを選んだだけです。

やりがちな間違い:フリーランス単価×12で年収を測る

フリーランス時代、自分の相場を「業務委託単価×12ヶ月」で見積もっていました。これは錯誤です。その金額には社会保険・賞与・退職金・住宅ローンの与信が含まれていません。正社員年収とは“別商品”の値段なので、同じ土俵で引き算すると「転職で損した」と錯覚します。比べるなら、手取り・福利厚生・社会的信用まで含めて並べてください。フリーランスと正社員を行き来した実体験はフリーランスから正社員に戻った話に書いています。

数字を上げる前に、座る席を選ぶ

「年収が上がらない」と悩むとき、能力の問題に見えて、実は座っている席の問題であることが多いです。高い数字が欲しいなら負荷の重い席を、自由が欲しいならその対価を理解して選ぶ。自分の軸がはっきりしていれば、高いスカウトが来ても落ち着いて判断できます。どの席に座るか決めるには、企業のリアルなデータを見るところから始めるのがおすすめです。

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よくある質問

同じエンジニアなのに、なぜ提示年収にこんなに差が出るのですか?

年収が「人」ではなく「席(ポジション)」に紐づくからです。私自身、同じ経歴・同じ時期に、席によって倍近く違う提示やスカウトを受けました。稼働や責任が重い席ほど数字は高く、自由度が高い席ほど控えめになります。あなたへの提示額は、どの席に座るかを決めた瞬間にだいたい決まります。

スカウトで高い年収が出たら、それが自分の市場価値ですか?

そうとは限りません。スカウトや求人票の高い数字は“提示レンジの上限”で、しかも稼働・責任の重い席のものが多いです。実際の選考や内定では下振れすることもあります。一番高い数字を自分の値打ちだと思い込むと、判断を誤りやすいので注意してください。

フリーランスの単価×12と正社員の年収を比べていいですか?

比べないほうがいいです。業務委託の単価×12は、社会保険・賞与・退職金・住宅ローンの与信を含まない“別商品”の値段です。同じ土俵で引き算すると、正社員転職でいつも損をしているように錯覚します。手取り・福利厚生・社会的信用まで含めて比べてください。

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この記事を書いた人:bani24884

フリーランスのフルスタックエンジニアとして約5年活動したのち、2026年に実際に正社員へ転職活動を行いました。本コラムは、その過程で得た応募〜内定までの一次体験(選考ファネル・年収・複数エージェント運用など)を、 脚色せずに記録したものです。一般論ではなく「当事者が実際に経験したこと」だけを書いています。