フリーランスから正社員に戻った話|30代エンジニアの実体験
34歳・フリーランス約5年のフルスタックエンジニアが、2026年に正社員へ転職しました。直近はスタートアップで取締役直下の新規事業ゼロイチを担当し、一人で開発を完結させる比率が高い働き方でした。「フリーランス→正社員」は検索すると一般論や代理店の記事ばかりで、当事者が一人称で書いた記録がほとんど見当たりません。この記事では、戻ろうと思った理由・選考でのリアル・お金の話を、脚色せずに残します。
なぜフリーランスを辞めて正社員に戻ったのか
収入や自由度だけ見ればフリーランスを続ける選択肢もありました。それでも正社員を選んだのは、大きく次の3つが重なったからです。
1. 技術は積んだ。でも「技術以外」の弱さを感じた
5年で技術はある程度積めた感覚がありました。一方で足りないと痛感したのが、技術の外側です。自分のトラックレコード(実績の積み上げ)、自分の裁量で意思決定して進める経験、組織やプロダクトへの長期的なコミットメント——一人で案件を回す働き方では、ここが育ちにくい。技術力の先にあるこれらを取りに行くには、腰を据えて組織に入るほうがいいと考えました。実際、選考でも「チームを率いた経験」を繰り返し問われ、技術以外が評価軸になる場面を実感しています(リード経験なしでテックリード求人に落ち続けた話)。
2. 「技術で証明し続ける生活」への疲れ+AIによる陳腐化
フリーランスは契約ごとに、技術で存在価値を示し続ける必要があります。5年続けるとその緊張が常態化しました。加えて、生成AIの台頭で「自分の技術スキルそのものが陳腐化していく」感覚が強まったこと。技術力だけで価値を証明し続けるモデルに、限界と疲れを感じたのが大きい動機です。正社員回帰は敗北ではなく、「証明し続けなくていい状態」を選んだ、というのが正直なところです(フリーランス5年で疲れて正社員に戻った話)。
3. ライフイベント(住宅ローン・社会的信用)
2027年春の子どもの小学校入学に合わせて地方移住を計画しており、住宅ローンを通すことがライフプラン上必須でした。フリーランスは収入が高くても与信で極めて不利で、希望額を通すには返済負担率の上限ライン(多くの銀行で35%)から逆算した年収が必要になります。業務委託契約の終了時期も重なり、「2026年夏に正社員入社」が動かせない締切になりました。
フリーランス経験は選考で「有利」だったか「不利」だったか
結論は「使い方次第で武器にも弱点にもなる」でした。
プラスに働いた点
- フルスタックでの0→1立ち上げ経験。スタートアップ・新規事業のポジションで強く評価されました。
- 受託で複数プロダクトに関わった幅広さ・キャッチアップの速さ。
- 「自走できる」前提で見てもらえる点。
問われた・弱点になった点
- チームリーダー・マネジメント経験を問われる場面が多かった。
- 「受動的に見える/リーダータイプでない」と評価されたことも。
- 運用・バックエンドの深さを問う枠では技術力不足と判断された。
実際にどの選考でどう評価され、何社受けて何社通ったかは転職活動の全記録に、落選理由の分析は落ちた選考から学んだことにまとめています。
職務経歴書・志望動機でフリーランス期間をどう書いたか
- 肩書きは「フリーランスとして独立」と明記。空白期間に見せないことを最優先しました。
- 案件ごとに「役割・技術スタック・成果」を、会社員の職務と同じ粒度で記載。受託=何をやったか分かりにくいので、ここを具体的に書くほど通過率が上がりました。
- 志望動機は「なぜ今あえて正社員か」を、生活事情ではなく「組織で事業・人に向き合いたい」という前向きな軸に翻訳して語りました。
お金のリアル:単価×12で年収を比べてはいけない
一番やりがちな失敗が、フリーランスの月単価×12を正社員の提示年収と引き算することです。業務委託の単価には、社会保険・賞与・退職金・住宅ローンの与信が含まれていません。正社員年収とは“別商品”の値段なので、同じ土俵で比べると「転職で損した」と錯覚します。
実際、同じ自分でも受ける席によって提示やスカウトの年収は倍近く変わりました。私が選んだのは、フルリモート・低負荷・副業可・マネジメント責任なしを全部満たす席で、数字としては控えめです。高い席との差は「自由と時間を手元に残すことの対価」だと考えています。なぜ同じ人でもここまで幅が出るのかはエンジニアの市場価値は1つじゃないで詳しく書いています。
両方やってわかった「どっちが得か」
フリーランスと正社員の両方を実体験した上での、いまの結論です。
- 20代〜30代前半:技術力を一気に積める・収入も上げやすいという点で、フリーランスの旨味が大きい時期。
- 30代中盤以降:マネジメント経験や社会的信用(ローン・与信)の比重が上がり、正社員の価値が相対的に高まる。私が戻ったのもこの局面でした。
どちらが正解ということはなく、ライフステージで「いま取りに行くべきもの」が変わる、というのが両方やった実感です。選考を受ける前のリサーチには企業の退職・転職先データも使えます。
生成AIで「技術力だけ」の見られ方は変わってきている
戻った理由の2つ目とも重なる、正直な実感です。生成AIで実装の生産性が上がったぶん、「コードを速く書ける」こと単体の価値は相対的に下がってきていると感じます。実際、選考で評価されたのは実装スピードよりも、事業に近いところで何を作るか決められるか・一人で立ち上げ切れるか・チームをどう動かすか、でした。
煽るつもりはありません。エンジニアの仕事がなくなる、という話でもない。ただ、市場が自分のどこを評価するかは静かに動いています。だからこそおすすめしたいのは、転職するかどうかとは別に、いまの自分がどう値付けされるかを定期的に測っておくことです。一番コストの低い測り方は、タイプの違うエージェントやスカウトに数社登録して、どんな求人・年収が返ってくるかを眺めること。動かない場合でも、現在地が分かるだけで次の打ち手は変わります。
転職を振り返って、いちばん怖いと思うのは——もし1社だけに絞っていたら、入社した会社に出会えていなかったということです。
後悔したくなくて、最大限ためすために転職サービスを8つ登録しました。やってみると、最終的に入社を決めた会社も、もう1社の内定も、それぞれ別のサービス経由。同じ条件で登録しても、各社で出てくる求人はまるで違いました。だから「どこか1社」ではなく、タイプの違う5社前後を組み合わせる——これが実際に使って出した結論です。
ここに並ぶのは、私が実際に使った8社だけ。名前も知らない会社を埋め草で足したりはしていません。
2026年にフリーランスから正社員へ実際に転職した、運営者 bani24884 の一次体験です。プロフィール
いま転職する気がなくても大丈夫です。登録は無料で、合わなければ断ればいい。生成AIで評価の軸が動いている今こそ、まず「自分が市場でいくらに見られるか」だけ知っておくと、いざという時に慌てずに済みます。
ダイレクトスカウト型
企業やヘッドハンターから直接スカウトが届く。年収の提示が早く、レンジも広い。エージェントを挟まないぶん話が速い。
総合・IT特化エージェント型
求人の提案量と技術理解が段違い。面接対策まで伴走してくれるので、選考そのものが有利になる。
特化型(高年収・コンサル)
領域を絞っているぶん、提示年収が一段高く出やすい。年収を本気で上げたい人の切り札。
よくある質問
フリーランスから正社員に戻るのは不利ですか?
職種や強みによります。私の場合はフルスタックでの0→1立ち上げ経験が、スタートアップや新規事業のポジションでむしろプラスに評価されました。一方で「チームをまとめた経験(マネジメント)」を問われる場面は多く、ここが弱いと評価が伸びにくい実感がありました。
職務経歴書にフリーランス期間はどう書きましたか?
「フリーランスとして独立」と明記し、関わったプロダクトの役割・技術スタック・成果を案件単位で記載しました。空白期間に見せないこと、受託の実績を会社員の職務と同じ粒度で書くことを意識しました。
フリーランスを辞めて後悔しましたか?
入社前の時点では「住宅ローンを通せる」「組織で動ける」という当初の目的は達成できる見込みで、後悔はしていません。ただし自由度や単価は確実に下がるため、人によって答えは変わります。
フリーランスと正社員、どっちが得ですか?
20代〜30代前半で技術力を積みたい・収入を上げたい時期はフリーランスの旨味が大きいと感じました。一方、30代中盤以降はマネジメント経験や社会的信用(ローン等)の比重が上がり、正社員の価値が相対的に高まる、というのが両方やった上での実感です。
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この記事を書いた人:bani24884
フリーランスのフルスタックエンジニアとして約5年活動したのち、2026年に実際に正社員へ転職活動を行いました。本コラムは、その過程で得た応募〜内定までの一次体験(選考ファネル・年収・複数エージェント運用など)を、 脚色せずに記録したものです。一般論ではなく「当事者が実際に経験したこと」だけを書いています。