AI時代、フリーランスエンジニアはどうなる?一本足をやめて正社員に戻った当事者の話
「AIでフリーランスエンジニアはどうなるのか」。私は約5年フリーランス(業務委託)でフルスタックをやってきて、この問いに対して正直「分からない」が結論でした。だから、分からないことを前提に2つ動きました。1つは、エンジニアという職業に収入を一本足で乗せるのをやめて、収入源を分散したこと(このメディアの運営も、別ジャンルの情報収集も、その一環です)。もう1つは、不況やAI代替で真っ先に切られるのは業務委託だと判断し、業務委託をやめて正社員に戻ったこと。「生き残る○つのスキル」を並べる記事ではなく、先が読めない中で実際に手を動かした当事者の記録として残します。
結論:先が読めないなら「予測」より「分散」で守る
最初に結論です。AIでエンジニアの仕事がどうなるかを正確に予測するのは、たぶん誰にもできません。なら、当てに行くより倒れにくくする。私が取った守りは次の2つに集約できます。
- 収入源の分散:エンジニアの稼ぎ一本に依存しない。職業ごと需要が縮んでも、別の小さな柱で食いつなげる形をつくる。
- 立場の選択肢:AI・不況で真っ先に削られる「業務委託」という立場に固定されず、切られにくい雇用の側も選べるようにしておく。
この2つは誰の状況にも置き換えられます。以下は、それぞれを私が具体的にどう実行したか、裏付けとして書きます。
打ち手1:エンジニア一本足を疑い、収入を分散した
私はもともと「エンジニアとして稼ぎ続ける」ことを当たり前の前提にしていました。AIが実装を肩代わりし始めて崩れたのは、その前提の方です。「職業としてのプログラマー・エンジニアが、この先も同じ重さで残るのか」が読めなくなった。だから、スキルを磨いて職を守るのと並行して、職業そのものが縮んでも倒れない形を作りに行きました。
このメディア(転職DB)を自分で運営しているのも、その分散の一環です。エンジニアの労働だけでなく、コンテンツやデータから生まれる収入の柱を別に育てる実験でもあります。あわせて、エンジニア領域の外——たとえば民泊やレンタルスペースのような、自分の手を動かす時間に依存しにくい収益源も検討しています(こちらはまだ調べている段階です)。どれも「これで一発逆転」ではなく、小さな柱を複数本立てておくための仕込み・検討です。重要なのは個々の手段ではなく、稼ぎを一本足にしないという方針の方です。一本足は、その足が折れた瞬間に終わる。AIで折れる確率が読めないなら、足の本数を増やす(あるいは増やせる準備をしておく)のが素直な守りでした。
打ち手2:真っ先に切られる「業務委託」をやめた
もう一つの動きが、業務委託をやめて正社員に戻ったことです。スキルに自信がなかったからではありません。業務委託は、企業から見て最初に切れる「調整の弁」だからです。景気が冷えても、AIで下流工程が圧縮されても、雇用契約の正社員より先に止められるのは契約更新の方。これはスキルの高低とは別の、立場そのものに内在する弱さです。
AIでエンジニアの需要が「どの順番で」削られるかを考えたとき、私はその順番の早い側に業務委託がいると見ました。日本のIT業界に多い多重下請け・外注の構造でも、削減の圧力はまず外側=委託から来ます。自由と高単価は、需要が続く前提の上に成り立つ報酬です。その前提が揺らぐ局面では、雇用の安定という別の資産を一部買い戻す——そう判断して軸足を移しました。なぜ戻ったかの全体像はフリーランスから正社員に戻った話に、働き方としての疲れの側面はフリーランス5年で疲れて正社員に戻った話に書いています。
攻めと守りは、どちらか一方ではない
ここで誤解されたくないのは、「サイドワークで分散」も「正社員で安定」も、フリーランスを否定する話ではないということです。私はフリーランスの5年で、案件を選びながらデータ系からWeb系へ低リスクで軸足を移し、一人で開発を完結できる強みを作れました。これは正社員では得にくかった資産です。
言いたいのは順番です。攻め(事業・サイドワーク・高単価の挑戦)と守り(雇用の安定)は、トレードオフではなくポートフォリオで、両方持てるなら持った方が強い。AIで前提が揺れる今は、攻め一辺倒だった配分に守りを一枚足す時期だと判断した、というだけです。配分の正解は人それぞれですが、「いま自分は攻めと守りのどちらに偏っているか」を一度棚卸しすることは、誰にとっても効くはずです。フリーランスと正社員で「市場が付ける値段」がどう変わるかはエンジニアの市場価値は1つじゃないにまとめています。
「AIに強くなる」だけに賭けない理由
この手の記事の定番の結論は「AIを使いこなせる側になれ」「ポータブルスキルを磨け」です。間違いではないし、私もスキル更新は続けます。ただ、それだけに賭けるのは危ういと思っています。「AIを使える」は今の差別化要因でも、数年で当たり前になり、また同じ証明レースが始まる。業務委託の本質は、契約のたびに自分の価値を証明し続けることでした。AIで競争が速くなるほど、その証明の更新サイクルも速くなります。
だからスキルで前線を守りつつ、スキルが陳腐化しても倒れない後方も用意する——というのが私の二段構えです。前線=AIスキルの更新、後方=収入源の分散と切られにくい立場。前線だけの防衛は、一度抜かれたら終わりです。
案件エージェントを何社か使って分かったのは——同じスキルでも、各社で紹介される案件がまるで違うことでした。
単価も、稼働日数も、直請けの多さも会社ごとに差が出ました。1社だけだと、その会社が得意な案件しか見えません。だから案件エージェントも、タイプの違う複数社で見比べるのが結論です。
今すぐ動く必要はありません。登録は無料で、合わなければ断ればOK。まずは「自分の単価が今いくらで通るか」を複数社で測っておくと、契約更新や次の一手で迷わなくなります。
ここに並ぶのは、私がフリーランス時代に実際に使った案件エージェントだけです。
案件数・高単価型
案件数が多く、高単価案件に出会いやすい。まず登録して相場観をつかむ土台になる。
サポート・保障型
報酬保障や福利厚生など、正社員に近い安心感。独立まもない時期の支えになる。
柔軟な働き方型
週2〜3日・リモート・直請けなど、働き方を選びやすい案件が多い。
よくある質問
AIでフリーランスエンジニアの仕事はなくなりますか?
「ゼロになる」より「需要の形が変わる」と捉えるのが実感に近いです。コーディングやテストなど下流工程はAIに置き換わりやすく、ここを主戦場にしている業務委託ほど単価と件数の圧力を受けます。一方で要件定義・設計の意思決定・顧客折衝などAIが苦手な領域は残り、AIを使い倒せる人ほど評価されます。問題は「いつ・どの順番で削られるか」で、私はその順番の早い側に業務委託がいると判断しました。
なぜ業務委託(フリーランス)が真っ先に切られるのですか?
契約構造の問題です。業務委託は雇用ではなく、企業から見れば景気やAI導入で需要が縮んだとき最初に調整できる「弁」になります。正社員のような解雇規制の保護がなく、契約更新を止めるだけで済むからです。スキルが高い・低いとは別の、立場そのものに内在する弱さです。私はこの構造的な脆さを、AIで先行きが読みにくい時期に抱え続けるのが嫌で、雇用の側に軸足を移しました。
AI時代、フリーランスエンジニアは何をすればいいですか?
私がやったのは2つです。1つは収入を一本足にしないこと。エンジニアの稼ぎだけに依存せず、メディア運営など小さな柱を育て(民泊やレンタルスペースのような別ジャンルも検討中です)、職業ごと需要が縮んでも倒れない形に寄せました。もう1つは、必要なときに「切られにくい立場」を選べるようにしておくこと。具体策は人によりますが、軸は『収入源の分散』と『立場の選択肢』の2つに集約できます。
AI時代に正社員へ戻るのは「逃げ」ですか?
私は守りを一枚入れただけだと捉えています。フリーランスの自由と高単価は本物でしたが、それは「需要が続く前提」で成り立つもの。AIで前提が揺らぐ局面では、雇用の安定という別の資産を一部買い戻す判断は合理的です。攻め(事業・サイドワーク)と守り(雇用)はトレードオフではなく、両方をポートフォリオに持てるなら持った方が強い、というのが両方やった結論です。
AIに強いフリーランスエンジニアになれば生き残れますか?
生存確率は上がりますが、それだけに賭けるのは危ういと考えます。「AIを使いこなすスキル」は今の差別化要因でも、数年で当たり前になり、また同じ証明レースが始まります。スキル更新は前提として続けつつ、スキルが陳腐化しても倒れない『収入源の分散』と『立場の選択肢』を別軸で持っておく——この二段構えが、私が両方の働き方を経て選んだ守り方です。
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この記事を書いた人:bani24884
フリーランスのフルスタックエンジニアとして約5年活動したのち、2026年に実際に正社員へ転職活動を行いました。本コラムは、その過程で得た応募〜内定までの一次体験(選考ファネル・年収・複数エージェント運用など)を、 脚色せずに記録したものです。一般論ではなく「当事者が実際に経験したこと」だけを書いています。